創業330年特別企画展


伝来された品々 事業と物語
―歴史と歩む―


令和元年 6月8日(土)〜7月21(日)



 元禄二年(1689)に初代原光が「新潟屋」を開業、商いを堅実に行いながら様々な事業を行い330年になります。飛砂の害から町を救うため黒松の植林、荘内藩への財政支援、冬期失業対策、公共・水利事業、「本間農場」を設置し農業振興などに努めました。この歴史を書簡や絵図などより紐解きます。
 庄内海岸は、塩を作る燃料のため木が伐採され砂漠化しました。田畑や家屋は砂に埋まり、強風の日は戸を閉め、外出もできず苦しめられます。そこで、三代光丘は私財を投じ、悲願だった黒松の植林を行いました。
同時に、学問を志す青年のため学問所(接待寺)を建立しようと38年間にもわたり幕府に願い出ますが、「新寺建立禁止令」で許可されませんでした。黒松の植林は成功させ、田畑を耕せるようになりました。現在では、たくさんの人々の手により庄内海岸に長さ34キロメートルにもわたるグリーンベルトが形成されています。





宝暦八年願書


宝暦十二年 西浜植付届書案


松林銘碑(明治41年)


 江戸時代、大凶作になると年貢米を納められなくなり、農民は田畑を捨て離散してしまいます。そこで本間家に田畑を耕させるようにして欲しいとの要望が出され、田畑を集積し米が穫れる田に変えていきました。これが大地主への道となります。飢饉対策として庄内の八ヶ所に巨大な倉庫を建て、籾を備蓄し、藩へ献納します。天明の大飢饉においても荘内藩では一人の餓死者も出さず、東北一円から難民が流れてきたそうです。





安永四年 備荒貯蓄籾


寛政五年「富国安民策」の写し


 四代光道以降は、日吉丸など六隻の北前船を新造し、商いを継承発展させました。三代光丘の時代までは借りた船で商売をしていました。文化五年(1808)船場町に「新問屋」を開き、明治維新まで海運業において活躍します。北前船の進水式の様子や祝いの料理のメニュー、北前船で運ばれてきた陶器や漆器の美術品も公開します。
 文化十年(1813)冬期失業対策として本間家旧別荘(現・本間美術館「清遠閣」「鶴舞園」)を築造、文化十四年(1817)には港と市街をつなぎ、丁持達が荷物を運搬しやすいように石段(通称「神明坂」)を設置しています。現在では港が見渡せる日和山公園から日枝神社、光丘神社、光丘文庫へと散策をお楽しみ頂けます。
 文政三年(1820)冬、渡船の所に氷が張った時には、旅人の安全を守るため厚板を設置しました。





 長崎・京都・金沢と全国各地より収集した本に捺印する蔵書印を文化八年(1811)に作成しました。代々が収集した数万冊の蔵書は、大正時代に設立された光丘文庫に寄贈され、その後市立光丘文庫となりましたが、残念ながら老朽化により、平成28年の8月で91年間の幕を閉じました。蔵書は別の建物で大切に保存され、閲覧することもできます。まさに「町と共に歩む」ということです。
 光道は常世田長翠を師とし、俳諧を広めています。長翠のために新庵を建て、その家族を住まわせ、庵ではたくさんの人々が学び、春秋庵の伝統を継承しました。





 明治になると、六代当主光美が九州より馬耕教師伊佐治八郎を招き「本間農場」を設置し、湿田から乾田農法に変え、馬や牛、くわなどの道具を使うことができ、楽に稲作が行えるようになりました。稲の品種改良、農業指導、スイスから大きなポンプを取り寄せ、耕地整理などにも努めました。現在のような庄内米、つや姫などといったブランド米ができるようになったのです。





日枝神社に奉納された農具


揚水ポンプ


現在の庄内平野と最上川



 大正7年、光丘の功績が認められ贈与があり、人々はこれを讃え「光丘神社」を設立。八代当主光弥は感謝の気持ちと光丘の遺志を継いで、これまで収集した何万冊もの蔵書を寄贈し、「光丘文庫」を設立しました。酒井家、風間家の協力のもと「荘内育英会」を設立し、育英事業は今日も続けられ、来年100周年になります。光丘の夢は実現されています。





光丘神社


光丘文庫


荘内育英会 会報



 本間美術館(清遠閣・鶴舞園)は明治・大正・昭和と酒田の迎賓館、昭和になると本間家旧本邸は公民館として利用されてきました。なつかしく思われる方もいらっしゃると思います。写真でその様子を紹介します。
 「町と共に歩む」という理念のもと、人々が安全で心豊かに暮らせるように、公共事業、学問・文学の普及など色々な事業を確実に実践しています。今尚、町を歩けば全国から届けられた石やこの足跡を至る所で見ることが出来ます。
 北前船の交流でもたらされたものにお雛様、からくり人形などのお人形、九谷・伊万里焼の陶器・料紙箱・硯箱などの漆器、また京都から伝わったうどん、ごま豆腐のあんかけ料理、たまご寒天、むきそば、そして丸餅など、食文化もご笑味下さい。
 「百聞は一見に如かず」、この夏、歴史物語にふれて頂き、すてきなものを発見できますようお手伝いさせて頂きます。
 ゆっくりお時間をお取り頂き、ご来邸ください。心よりお待ち申し上げます。



四季折々の山海の幸が豊富で「食の都 庄内」と言われるほどです。
「ゆったりのんびり」心と体をリフレッシュさせ、おいしい食をお食事処やレストランでご満喫下さい!


「ふるさとの味覚」

:桜マス 鯛 孟宗汁 月山竹 山菜の天ぷら(山の恵み) イチゴ etc...

:天然岩牡蠣 鮑のステーキ 口細カレイ のどぐろ 鮎 だだちゃ豆 メロン etc...


素敵なお土産をお持ち帰りください。